「この料金でいいのかな…?」
教室を始めたばかりの先生が、最初にぶつかる壁のひとつが“価格設定”です。
安くすれば生徒は集まりそう。でもそれでは利益が残らない。
高くすれば来てくれないかもしれない。――そんな不安がずっとつきまといます。
この記事では、ヨガ・ダンス教室の価格設定において、バランスよく考えるべき5つの視点をわかりやすく解説します。
価格に“自信と根拠”が持てるようになることがこの記事のゴールです。
視点① 経費と利益をもとに“最低限必要な価格”を算出する
どんなに価値を伝えても、赤字なら教室は続きません。
そのため、「最低でもこの価格は必要」というラインを知っておくことが重要です。
次のステップに沿って計算してみましょう。
例:家賃20万+人件費20万+水道光熱費5万+通信費5万+広告費5万+雑費5万=月60万
例:オーナー報酬30万+10万の予備分=月40万
例:週20クラス×1クラス7名計算=140名
例:想定生徒数140名÷(費用60万+利益40万)=月7142円
この「最低限ライン」は、価格を決める際の“土台”になります。
視点②「価値」で価格を決める
価格設定で最も大事なのは、「その価格に納得してもらえる理由があるか」です。
生徒さんは“サービスそのもの”に払うのではなく、“そこから得られる体験”にお金を払っています。
たとえば――
- 日々のストレスを癒すための静かな時間や空間
- 体を動かしてリフレッシュできる快感
- 講師から丁寧に教えてもらえる安心感
- 共通の趣味を持つ仲間と出会える楽しさやつながり
- 姿勢改善や体幹強化など、具体的な体の変化
- ヨガやダンスのスキルアップによる自己肯定感の向上
こうした“目に見えない価値”をどう価格に反映させるかがカギです。
まずは自分の教室が「誰の、どんな悩みを解決しているか?」を具体的に言語化しましょう。そして「それが1回いくらくらいの価値に感じられるか?」を考えると、価格の芯が見えてきます。
例えば
「仕事で疲れた30代女性が、週に一度リフレッシュできる癒しの時間」を提供しているなら、それは単なる「ヨガレッスン」ではなく、「心身の健康維持」という価値を提供しています。その価値に対して、顧客はいくらまでなら支払うでしょうか?
視点③ 他の教室との“違い”を価格に落とし込む
周りの価格と比べるのは悪くありませんが、“真似”で終わってしまうと価格競争に巻き込まれます。
大事なのは、自分の教室だけが持つ「違い」を明確にし、それを価格に反映させることです。
例として、以下のような違いがあるか比べてみましょう:
- 駅からの距離(利便性)
- スタジオの内装空間(居心地)
- インストラクターの経歴や実績(信頼感)
- スタジオの雰囲気(安心感)
- イベントの回数や規模感(刺激やつながり)
ポイントは生徒目線で比べてみることです。そして「もし自分が通うとなればどんな料金なら魅力があるだろう」と考えてみてください。
これらの価値が伝われば、多少価格が高くても「納得される」価格になります。
「高い・安い」ではなく「何が含まれているか」で勝負しましょう。
視点④ “価格設計テクニック”7選
価格を設定したあと、もうひと工夫するだけで印象は大きく変わります。
ここでは初心者でも使いやすいテクニックを7つ紹介します:
- セット価格:「月謝+マットレンタル」などをセットで割安に見せる
- 体験レッスン無料/格安:入口のハードルを下げる
- オフピーク割引:平日昼間など空いている時間を安く
- プレミアム価格:有名講師・特別クラスは高価格で価値を演出
- 端数価格:「9,800円」などで心理的にお得感を出す
- 継続割引:3ヶ月以上継続で割引など、リピートを促す
「ただ値下げする」のではなく、「伝え方と見せ方」で工夫するのがポイントです。
視点⑤ 値上げ=成長のサイン|価格を見直すベストなタイミング
価格は一度決めたら終わりではありません。
むしろ、教室が成長するほど「見直すタイミング」が来ます。
こんなときは、価格の見直しを検討してみましょう:
- 生徒が増えて予約が取りづらくなったとき
- 内容が充実し、価値が明らかに上がったとき
- 赤字ではないが、余裕がないと感じるとき
値上げは悪いことではありません。ちゃんと伝えれば、多くの生徒は理解してくれます。
大切なのは「価格以上の価値」をしっかり届けることです。
まとめ:「いくらにするか」ではなく「なぜその価格なのか」
価格は、単なる数字ではありません。
それはあなたの教室の「メッセージ」であり、「約束」です。
・自分も生徒も、無理なく幸せになれる価格か?
・どんな強みがその価格を支えているのか?
この2つを押さえておけば、「納得される価格」が見えてきます。
今日から、“なんとなく”ではなく“理由ある価格”を作っていきましょう。