数字が苦手でも大丈夫!PL・BSで押さえるスクール経営の必須チェックポイント

※この記事は「会計はよくわからない」というオーナー向けです。詳しい方はスルーしてください。

経営者なら、自社の数字を最低限把握しておく必要があります。スクールを開業した後は、売上を伸ばすのも利益を残すのも、あるいは“出血箇所”を止血するのも、すべて会計上の数字を基準に判断することになります。

そこで今回は、PL と BS の超入門として「数字の見方」をイメージできるようにまとめました。


まず、PL と BS の違いを押さえましょう。

  • PL(損益計算書) … 「売上、費用、利益」を示す月次・年次の成績表。
  • BS(貸借対照表) … 「現時点でどんな資産があり、どれだけ負債を抱え、純資産がいくらか」を一覧にした財政状態のスナップショット。

PL で月次・年次の利益体質をチェックし、BS で資金余力や借入状況といった体力を把握すれば、多くの経営リスクを早期に発見できます。

スモールビジネスに難しい専門用語や高度な指標は必要ありません。この記事では、最低限押さえておきたい PL と BS の読み方だけを解説します。数字が苦手でも読める内容なので、ぜひ最後まで目を通してみてください。


目次

PL(損益計算書)はこれだけ押さえておこう

1-1 教室の一般的な PL 例

標準的な構成比は下のとおりです(単位:万円/%でも置き換えられます)

売上講師料人件費家賃その他営業利益
1004020201010

売上が変わると利益はこう動きます。(単位:万円)

売上講師料人件費家賃その他営業利益
8040202010–10
90402020100
1204020201030

固定費(講師料・家賃など)はほぼ動かないため、売上の増減がそのまま利益に跳ね返る構造です。まずは営業利益率 20%以上を目標にしましょう。

1-2 オーナーがどこまでやるかで数字は激変する

オーナー自身が半数のレッスンを行う、受付も兼務した場合の一例です。(単位:万円/%でも置き換えられます)

売上講師料人件費家賃その他利益
100200201050

講師料とスタッフ人件費を圧縮できるため、利益率は一気に 50%へ跳ね上がります。
開業初期はオーナーがフルコミットし、資金体力が整ったら徐々に業務委譲する──この段階的な移行が黒字を守りつつ時間を生む王道パターンです。

1-3 毎月のチェックポイント

  1. 売上と営業利益の前月比を並べて増減を確認する。
  2. 講師料・人件費・家賃・その他費用が動いた理由を把握する
  3. 売上低下なら「生徒数アップ」「単価アップ」、費用増なら「無駄遣い削減」などの対策を立てましょう。

BS(貸借対照表) で確認するのは使えるお金がいくらあるか

すぐに使えるお金=流動資産(現金+預金+1年以内に回収できる売掛金)

流動資産とは簡単にいうと、すぐ使える現金や預金などの資金です。現預金がなければ家賃や外注費、光熱費の支払いも出来ないので、この数字を常に見ておく必要があります。

この流動資産で大事なことは

借入金の返済を含む月間総支払額の最低2か月分、できれば3か月分を持っていくこと。ちなみに1か月を割ると自転車操業ゾーンです。

例えば

家賃20万、講師料5万、その他費用10万、返済金額5万の場合は、月の支払額が50万ですよね。50万×2か月分=100万は現預金で最低持っておくべきです。最悪の最悪でも1か月分は確保しましょう。

もし1か月分を切ると・・
翌月の売上で当月の支払いを行うことになり、自転車操業に陥ります。もうこうなった場合は、オーナーが資金を入れるか追加融資で運転資金を借りてくるなどの対策が必要になります。

流動資産の中に売掛金という項目がありますが、教室の場合はほぼ未払いの月謝です。もれなくしっかり回収するようにしましょう。

流動負債にあるカードの支払い金額には気を付けてください。口座にお金がなかったなんてことになると大事な信用に傷が付きます。そのためカードの引き落とし時期と口座の残高はしっかり管理しましょう。

毎月のチェックポイントは1つだけ

現預金が毎月の費用の2か月分あるか。もしないなら対策をたてましょう。


一年目はタネ植え期、赤字は“投資”と考える

開業初年度はかなり厳しい数字になるでしょう。初年度100万~200万円の赤字なんてザラにありますが、あまり心配することはありません。教室ビジネスは元々そういうモデルですから。なので

初年度は生徒数を集める投資期間と考えましょう。

初年度は赤字を見越して事業計画を立て、その上で運転資金を用意しておく必要があります。もちろんそれは将来の安定収入を買う行為です。2年目以降に営業利益率 20%を安定させるイメージを持ちましょう。


「毎月1円でも黒字」を習慣に

2年目からは毎月黒字にすることを習慣にしましょう。前述したとおり最低3か月分の資金を用意して、毎月黒字にすることで、

資金繰りの心配=潰れる心配がほぼなくなります。

オーナーがしっかり報酬を得られるようになるまで最短半年。長くて3年のイメージです。一度安定すれば少しづつ右肩に上がっていくのがスクール経営の特徴です。まずはそこまで頑張りましょう。


まとめ──月5分で済む2つの確認

  1. 売上と営業利益が前月より伸びているか。黒字になっているか。どの項目が変化しているか。
  2. 流動資産が月間支払額の2か月分を下回っていないか。

とりあえず何も分からないという方は、これだけでOKです。(そんなこというと色々な人に怒られそうですが。。)
大事なことは・・毎月必ずチェックすることです

もし分からないことがあれば税理士にすぐ聞くようにすると・・自然に数字に強くなっていきますよ。

このルーティンだけでも、スクール経営の危険信号はほぼ見逃しません。数字を味方に付けて、安心して“攻め”に転じましょう。

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